ノロウィルスの検査方法
実際にノロウィルスに感染したかどうかを知るためには、いったいどのような検査を受ける必要があるのでしょうか。
たとえ下痢や嘔吐の症状が現われたとしても、一概にノロウィルスに感染したとは限りませんので、本当にノロウィルスに感染したかどうかは検査で確認しなければなりません。。
通常、ノロウィルスの場合は、培養細胞や動物を用いた培養法などが確立されていないため、通常は患者さんの糞便や嘔吐物を用いて検査を行います。
ノロウィルスの検査法としては、次の3種類が確立されています。
1 電子顕微鏡による粒子の観察
ご承知の通りウィルスというのはとても小さいのため、普通の顕微鏡では見ることができないので、より細かい粒子を見ることが出来る「電子顕微鏡」を用いてウィルス粒子を観察し、その特性である小型球形のウィルス粒子が見られるかどうかでノロウィルスを判断します。従来から用いられている検査方法といえます。
2 核酸検出法
ウィルス粒子中の核酸の検出法としては、@RT-PCR法、AリアルタイムPCR法、BRT−LAMP法、CAmpdirect法、DNASBA法、ETRC法があります。一般的に核酸検出法は検出感度に優れているといわれます。
3 抗原検出法
ウィルス表面の抗原を検出する方法で、@EIA法とAICA法の2種類があります。特にICA法は特殊な機器を必要としない簡易的な検査方法で、非常に短時間で結果を得られます。検査試薬として市販されている「クイックナビーノロ」が有名です。
ノロウィルスの検査費用については、今のところいずれの検査方法であっても保険の適用は認められていませんので、外来で検査するとなると簡易な検査でも数千円、精密検査の場合だと1万円から2万円ほどの費用がかかります。
ノロウィルスの検査は果たして必要か
ただし、これだけの費用を払ってノロウィルスが原因かどうかを特定する必要があるのでしょうか。
たとえノロウィルスが原因だと特定したとしても、そのことで治療法が特に変わるわけではありません。
そういった意味では、わざわざ高額の検査費用を払ってまでしてノロウィルスの特定をするメリットはあまりありません。
一方、病院や老人施設、乳幼児施設、給食関連施設など公共の集団施設の場合は、事情が違ってきます。
“安全をモットー”とするこれらの施設において、ノロウィルスの感染者が出たかどうかについては、衛星管理上きわめて重大な問題となりますので、検査はとても重要な意味を持つこととなります。