ノロウィルスの治療は対症療法あるのみ
実際にノロウィルスに感染して専門医にかかったら、どんな治療をするのでしょうか?
既にご承知のとおり、ノロウィルスには「特効薬」となるものは残念ながら存在しません。
“細菌性の病気に優れた効果を発揮する”といわれる抗生物質でさえもノロウィルスには効果がないのです。
それでは、いったいどのような治療が必要かというと、いわゆる「対症療法」をするしかありません。
「対症(たいしょう)療法」とは、俗に「対処(たいしょ)療法」とも呼ばれ、表面的な症状の消失あるいは症状の緩和をおもな目的とする治療法のことです。
たとえば、強い腹痛を伴っている場合は、痛み止めを処方することなどが該当します。
ノロウィルスの場合、下痢が続くことによって体内の水分が急激に不足し脱水症状になりやすいので、輸液(点滴)により水分補給をするのが一般的です。
一方、「下痢止め」を処方することも対症療法ではありますが、下痢止めによってウィルスを体内にとどめることになるので、初期の段階では好ましくないといわれています。
医療機関によっては、抗菌剤や乳酸菌が処方される場合があります。
ほかには、吐き気を抑える薬(鎮吐薬)や胃腸を整える薬(整腸薬)などの飲み薬が処方される程度です。
自宅での治療法
ノロウィルスにかかったときに、自宅でできる治療はとくにありません。
ただ、下痢や嘔吐が続くことによって、脱水症状に陥る危険があるので、水分補給は重要です。
基本的には、湯冷ましやお茶がでも良いのですが、市販されている「スポーツドリンク」をひと肌程度に温めて飲むと体内への吸収が早く効果的といわれれています。
注意すべき点としては、
@発症後、6時間ぐらいは無理に水分を摂らないこと。(下痢や嘔吐の症状に拍車をかけることになります)
A特にお年寄りや乳児については、嘔吐物が喉に詰まり窒息する(誤嚥)場合がありますので、十分な観察を怠らないこと。
それと、治療法ではありませんが、嘔吐物の処理方法については、二次感染の原因となりますのでくれぐれも留意してくださいね。(別のページで詳しく説明していますので、そちらをご参考にしてください)