ノロウィルスってどんなウィルス?
「ノロウィルス」とは、いったいどんなウィルスなのでしょうか?
最初にこのウィルスが発見されたのは意外に古く、1968年、アメリカのオハイオ州で小学生が集団感染した際に、患者の便から検出されたのがはじまりです。その地名にちなんで「ノーウォークウィルス」と命名されました。
その後、電子顕微鏡の観察でその形態が明らかになり、ウィルス粒子の形態的特徴から「SRSV(小型球形ウィルス)」と呼ばれるようになりました。
さらに遺伝子解析技術が進展し、「PCR法」と呼ばれる遺伝子検査が可能となり、2002年に第12回国際ウィルス学会において、これまで「ノーウォークウィルス」と呼ばれていたものが現在の「ノロウィルス(Norovirus)」と呼ばれるようになりました。
日本では、1997年に食品衛生法で「小型球形ウィルス」として食中毒の原因に加えられました。その後、2003年に「ノロウィルス」と名称変更がなされました。
ノロウィルスは、ヒトだけに感染して下痢や嘔吐等を引き起こし、ヒトの小腸で増殖するウィルスで、ヒトの細胞の中以外では増殖しません。たとえば、 食べ物の中などで繁殖することはないのです。
ちなみに、ウィルスの大きさですが、直径0.03μ m(1μm = 1 /1000mm)前後のほぼ球形状で、もちろん電子顕微鏡でなければ観察することはできません。
日本においては、一年を通して発生はみられるものの、特に11 月ぐらいから発生件数は増加しはじめ、1月から2月前後が発生のピークとされています。
ノロウィルスの特徴
ノロウィルスの特徴としては、以下のような点が挙げられます。
・冬場の感染が最も多いが、1年中感染がみられる。
・感染力が非常に強い。
・消毒剤や熱にも一定の抵抗力がある。
・一度かかっても何度でも感染する可能性がある。
1(冬場の感染が最も多いが、1年中感染がみられる)については、「はじめに」のページでも説明しましたが、11月から2月までのいわゆる冬場が最も多く、全体の7割を超えますが、残りの3割はそれ以外の春から秋にかけて発生しています。
2(感染力が非常に強い)については、「ノロウィルスの感染力」ページで詳しく解説しています。
3(アルコール消毒剤や熱にも抵抗力がある)に関しては、ウィルスにはアルコール消毒剤からダメージを受けやすい「エンベロープのあるウイルス」とそれらのダメージを受けにくい「エンベロープのないウイルス」に分類され、ノロウィルスの場合はダメージを受けにくい「エンベロープのないウイルス」に分類されますので、アルコール消毒剤が一般的に効きにくい傾向にあります。
4(一度だけでなく一度かかっても何度でも感染する可能性がある)に関しては、ノロウイルスには複数の遺伝子型が存在するため、つまり、同じ人であっても別の遺伝子型のウイルスに感染する可能性があります。